研究概要 |
高機能・高感度テラヘルツ光検出用超伝導トンネル接合検出器の実現のために,今年度は次の2つの項目について研究を進めた。 (1)新規な電子ビーム励起プラズマ利用多層薄膜スパッタ装置の開発:山口大学が担当 平成14年度に立ち上げ完了した電子ビーム励起プラズマ発生装置(川崎重工業製:プラズマ発生によるエッチング機能のみ)に,本科研費で,チャンバー室の増設・4元スパッタガンの取り付けで,4元スパッタ装置に改造した。装置改造工事は平成15年12月初めまでかかった。これ以降,超伝導ニオブ薄膜の条件だしを行った。その結果,高密度電子ビーム励起プラズマ発生の特徴を生かして,通常のスパッタでは放電維持が困難な10-4torr台での高真空下での高品質な製膜ができた。 (2)ショットノイズ低減化のための新規接合作製プロセスの開発(選択的陽極酸化プロセス):山口大学が担当 J_<sg>の接合面積依存性を調べた結果,接合サイズの微細化により顕著にJ_<sg>が増加しており,接合周辺の寄与が大きいことを明らかにした。Nb/Al-AlOx-Al/Nb接合構造において,接合部加工でエッチングしたAlが接合エッジ部へ再付着しリーク電流I_Lの原因になっていると考えられる。そこで、接合エッジ部の絶縁を行うために,陽極酸化プロセスについて検討した。その際、全面を陽極酸化すると上部および下部電極と配線とのコンタクトが取れなくなってしまうため、新規に接合エッジ部のみを選択的に陽極酸化できるプロセスを考案した。この選択的陽極酸化プロセスで作製した接合は測定温度0.45KにおいてJ_<sg>(0.1mV)が20pA/μm^2と目標としていた40pA/μm^2の2分の1の値を得ることができた。
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