研究分担者 |
吉沢 克仁 日立金属(株), 先端エレクトロニクス研究所, 主任研究員
中野 正基 長崎大学, 大学院・生産科学研究科, 助手 (20274623)
金井 泰久 長崎大学, 工学部, 講師 (00264200)
掛橋 英典 松下電工(株), 照明R&Dセンター, 主査技官
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研究概要 |
Nd/sub2.6/Fe sub 14/Bとα-FeあるいはFe/sub 3/Bから構成される複合ターゲットを用いたPulsed Laser Deposition(PLD)法により,1000層程度の積層構造を有し,数十ミクロンメートルの厚さを有する超多周期積層膜を作製した。成膜直後の膜は非晶質状態にあったが,熱処理によりNd/sub 2/Fe sub 14/B相が析出し,硬磁気特性が発現して交換スプリング磁石が得られた。磁石を構成する軟磁性主相は,用いた軟磁性ターゲットの種類によらず,α-Feであった。ターゲットー基板間距離,ターゲット回転数を調整することにより積層周期を制御し,熱処理条件を最適化することにより,60kJ/m/sup 3/を超える最大エネルギー積を有する交換スプリング磁石を得ることができた。この値は,PLD法によって得られる単相Nd-Fe-B磁石で得られている最高の最大エネルギー積の値とほぼ等しい値であるが,Nd/sub 2/Fe sub 14/B/α-Fe系で期待される理論値に比べれば小さな値であった。 理論値と実験値の差の原因を検討した。PLD法においては高エネルギーの粒子が基板に到達すること及びPLD法特有のドロップレットの存在が,成膜は直後の積層構造を乱していることが特性悪化の一因となっていることが明かとなった。ターゲット-基板間距離を本研究の調整範囲より広く取ることによりドロップレットを減少させる共に,基板到達粒子のエネルギーを減少させて積層構造の乱れを抑制することにより更に特性の改善が期待される。
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