研究課題/領域番号 |
15360175
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
小島 信晃 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70281491)
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研究分担者 |
大下 祥雄 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10329849)
山口 真史 豊田工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50268033)
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キーワード | フラーレン / 超格子構造 / ナノ構造 / 太陽電池 / アモルファスカーボン / カーボン / 光起電力 / 薄膜 |
研究概要 |
C_<60>/a-C超格子構造のa-C層については、RFプラズマ源により分解した窒素をC_<60>膜表面に照射することにより形成している。a-C層の光学バンドギャップ等の特性を制御するために、成膜時の窒素照射条件とa-C膜の特性との関係を調べた。その結果、RFプラズマ源により分解された各励起窒素種の中で、膜表面に照射される窒素イオン量がa-C膜の特性に大きく影響を与えていることを明らかにした。 本年度予算で導入したX線ミラーモジュールを用いてC_<60>/a-C超格子膜のX線回折測定を行い、構造解析を進めている。 C_<60>/a-C超格子構造によるカーボン薄膜のバンドギャップ値制御を目指して、(1)C_<60>、a-C各層の厚さ、および(2)a-C層の光学バンドギャップを変化させてC_<60>/a-C超格子膜を成膜し、その光吸収スペクトルへの影響を調べた。その結果、井戸層であるa-C層の厚さが薄い程、またa-C層の光学ギャップが大きいほど、超格子膜の光吸収端が高エネルギー側にシフトすることが分かり、超格子構造で実効的なバンドギャップを制御できる可能性が示された。 太陽電池に応用するためには導電率の光感度が大きいことが重要であることから、C_<60>/a-C超格子膜の暗導電率と光導電率の特性を測定した。室温での暗導電率は極めて低く、測定が困難であったため、温度を370〜400Kに上げて測定し、その温度依存性から室温での値を推定した。その結果、室温での光感度は、C_<60>膜、C_<60>/a-C超格子膜、a-C膜と、a-C層の厚さが厚くなる程、小さくなっていくことが分かった。これは、a-C層内での欠陥により、光キャリアが再結合しているためと考えられ、超格子構造の光感度を大きくするには、a-C層の低欠陥密度化が重要であることが示された。 来年度は、C_<60>/a-C超格子構造へのドーピングによる導電率制御、及びa-C層の低欠陥密度化を図る予定である。
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