研究課題
平成17年度に得られた結果をまとめると以下のようになる。1.本年度は、顕著な電歪効果が得られたPUEフイルムのソフトセグメント部とハードセグメント部に対し、分子構造の異なるポリエステル系ポリオール、各種ジイソシアネートを組み合わせ、鎖延長剤を用いて合成を行った。フイルム化は金型によるキャステング法で行った。2.PUEフイルムのカーボンナノチューブ(CNT)による分子構造制御は、本研究の最大の特徴となっており、CNTを発煙硫酸でスルホン化(4〜8週間)し、加水分解した後にトルエンにより稀釈液(0.005〜0.05wt%)を作成してPUE合成時に硬化剤として導入、反応させた。3.トルエン稀釈液を用いて分子構造制御することで、従来の水酸化CNT粉末を反応時に分散させる方法に比べ、架橋が一様に進み非常に分散性の良い透明かつ質の高いフイルム化に成功した。4.トルエン稀釈液が0.005wt%のとき、トルエン未使用時(CNT粉末のみ)0.25wt%に比べて、より低電界駆動が実現出来、印加電圧200Vで約1mmの変位を得ることが可能となった。5.PUEアクチュエータの電極構成にスパッタ法を利用した場合は、電極膜厚が35nmの時に最大変位が得られ、熱蒸着法やイオンアシスト法に比べ著しく改善した。6.CNT導入PUEアクチュエータの発生力は、200μmのフイルム厚さで最大の力が発生し、自重の5倍程度の発生力となっている。また、加圧によるPUEフイルムの圧電効果も発現している。7.さらに低電界駆動を試みるため最終年度は、各種イオン性液体をPUEフイルムに導入した。特に、イミダゾール系イオン性液体を導入した場合には、印加電圧が500Vで約10mmの変位を得ることができ、従来のPUEアクチュエータの3倍の変位となっている。8.CNTおよびイオン性液体導入PUEアクチュエータの電歪効果と屈曲変位の解析には、パルス静電応力法による空間電荷測定で行ない、これによって両者の関係をより明確にすることができた。
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