研究課題
ナノメートル電磁波における低損失導波路および高効率X線機能素子の基礎研究として、不均質な媒質内におけるX線の散乱・透過特性に関する解析的手法による理論的検討およびコンピュータシミュレーションを行うとともに、軟X線を用いた計測システムに関して検討を行い、以下の良好な成果が得られた。1.不均質媒質におけるX線散乱特性の理論解析の検討導波路等の媒質内の伝搬特性を明らかにするため、X線、ナノメートル電磁波は媒質を構成する原子、分子内の電子による誘電率および分極率の確率的空間特性をモデル化し、X線の透過波および散乱波について、自由空間のグリーン・ダイアディックを用いて積分方程式を導いた。入射波としてX線ビーム波を考え、透過波および散乱波の統計的性質を明らかにした。X線伝搬における光電効果およびコンプトン効果に関しても検討した。2.X線導波路における散乱・透過特性のFDTD法による解析の検討結晶媒質を用いたX線導波路におけるX線導波特性を検討するため、有限差分域時間領域(FDTD)法を用いてX線ビームの伝搬解析を行った。また、導波媒質における散乱・透過特性を検討するため、ランダムな原子群からなるランダム媒質中にX線ガウスビーム波が入射したときの電磁波散乱解析を行い、原子の誘電率と散乱特性の関係を明らかにした。3.大規模コンピュータシミュレーションのための並列計算手法の検討X線領域での伝搬、散乱、吸収特性をFDTD法で解析する際、X線導波路および機能素子の大きさに比べ、X線の波長が極めて短いため、全体の領域を一度に解析できない。そこで、領域分割による逐次計算手法および並列アルゴリズムに関して検討を行った。4.軟X線を用いた散乱・透過の実験的検討媒質中のX線散乱・透過特性を実験的に検討するため、軟X線発生装置およびX線カメラを用いた計測システムの整備を行った。X線カメラからの検出画像はコンピュータにより処理が可能である。ナノメートル電磁波の低損失導波特性については、さらに理論的および実験的に検討を行っていく必要があるが、この成果をもとに、導波路および機能素子実現の研究展開が可能となった。
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