研究概要 |
本研究では,従来まで不可能であった2ミクロン以上の赤外光に感度を持ち,および可視光に対してはこれまでの素子の3倍以上の80%以上の1次量子効率を持つ光電子放出デバイスを実現することを目標としている. 強誘電体からの電子放出現象を利用して中・遠赤外光に感度を持つ赤外線光検出素子を製作する.これまで,100μm厚のPZT強誘電体薄板を用いて基礎的な原理確認実験を行ってきたが,厚いために熱容量が大きく,強誘電体自身を赤外線照射により温度の変化を利用するデバイスとしては不利であった.本年度は本グループの基板技術である,エピタキシャルAl2O3/シリコン構造基板に,ゾルゲル法で薄膜のPZT薄膜をエピタキシャル成長に成功したことと,エピタキシャルAl2O3/シリコン基板に白金をエピタキシャル成長に成功でき,今後この基板を利用して赤外線放出現象を見いだす.さらに,チタン酸ストロンチウム単結晶からの,赤外線照射に伴う電子放出現象を確認することができた.その電子放出特性が,これまで実験してきた焼結体のものとは異なり,応答特性が早く,多くの電子が放出することがわかった.しかしながら,その電子の供給過程が不明であるためその検討も行った. イメージセンサとして用いるには真空パッケージか技術が必要である.MEMS技術を用いた真空パッケージに関する検討をおこなった.その結果200ミクロン角の微小空間を真空に保つことができることがわかった.今後,エミッションデバイスとして用いる10^<-5>Pa程度の維持を目指す手法を確立することをめざす.
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