研究課題
基盤研究(B)
現在の高度情報化社会において、システムLSIの更なる高性能化が求められている。従来よりLSIの高密度、小型化の技術研究開発が進められている。更なる高密度化のためには、2次元の集積回路ではなく、3次元方向すなわち積層型の集積回路を作製する必要がある。特に複数の機能を1つのチップに纏めた積層型システムLSIの作製技術を確立することは極めて重要である。次世代積層型システムLSIを作製するためには、積層間つまり垂直方向の配線作製技術が最も重要である(平面方向の配線作製技術は既に確立されている)。平面LSI基板に貫通孔を開けて配線をおこなうが、その際配線の周りを絶縁する必要がある。システムLSIの垂直方向貫通孔の深さは数10〜100μm程度であり、均一で絶縁特性に優れた絶縁膜を作製することは、従来技術では困難であった。我々は、有機シリコン化合物を真空紫外光によって光分解することにより、酸化シリコン薄膜を作製する技術(真空紫外光CVD法)を開発した。この方法では、光が入っていく場所であれば、薄膜を作製することが出来るので、システムLSIの深い垂直方向貫通孔に絶縁膜を堆積させることが可能である。そこで本研究では真空紫外光CVD法を用いて次世代積層型システムLSI製作用要素プロセス技術の開発を行った。H15年度には、プラズマエッチング装置を製作した。H16〜H17年度には、プラズマエッチング法によってSi基板又は石英ガラス基板に作製した深さ5-50μm、直径5-50μmの垂直孔の側面に、真空紫外光CVDによって絶縁薄膜を堆積させた。ガス種、ガス流量、照射する真空紫外光の波長に対して、どのような薄膜が堆積するかを調べた。結果、原料ガスはTMCTSで、波長126nmの真空紫外光で光分解することにより、密着性の高い均一な膜を作製できた。更にフェムト秒レーザーを用いた貫通孔作製技術の開発も行った。
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