研究概要 |
MIMO-OFDMにおける空間分割多重方式につき,平成15年度は以下の研究成果を得た. 1.MIMO-OFDMにおけるチャネルと周波数オフセット推定 高速無線LAN等に用いられるMIMO-OFDM空間分割多重方式においては,データ区間の前に置かれるプリアンブル信号により,タイミング同期を確立し,チャネルと周波数オフセットを推定しなければならない.4OFDMシンボル区間の短時間にチャネルと周波数オフセットの推定を行う次の提案を行った. (1)3サイクルのショートトレーニング系列により,周波数オフセットの粗推定を行い,これに基づき位相回転を補償する. (2)2OFDMロングトレーニング区間それぞれにおいて周波数オフセットがないものと仮定して時間領域のチャネル推定を行う. (3)上記2個のチャネル推定値の位相回転量から周波数オフセットの精密推定を行う. (4)精密な周波数オフセット推定値に基づき,位相回転量を更に補償し,チャネルの精密推定を行う. 2.MIMO伝搬特性の評価 MIMO-OFDMの特性は使用環境の伝搬特性に依存する.送受信間に見通しがある場合・ない場合のそれぞれについて伝搬実験を行い,フェージングの空間相関等の諸データを取得した.これはフェージングシミュレータを用いたMIMO-OFDMの特性評価を行う際のパラメータとして利用可能である. 3.実験システムの構築 DSPボードを用いたOFDM復調系を作成し,最小自乗法に基づく時間応答のFFTによるチャネル推定,および,それを用いたデータ復調をSISO(Single-Input Single-Output)環境で基本動作の確認を行った.次年度においてMIMO環境での空間分割多重信号の分離回路を実現する.
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