研究概要 |
平成16年度は前年度の成果を発展させ,以下の結果を得た. 1.実験系によるチャネル推定法の検証と誤り率特性の評価 DSPボードを用いたOFDM復調系を作成し,本研究グループで提案している,最小自乗法に基づく時間応答のFFTによるチャネル推定法を2×2MIMO環境について検証した.シミュレーションにより得られていた通り,トレーニング系列を用いて形成される行列の条件数(最大固有値/最小固有値)を小さくする系列を用いるとチャネル推定精度が向上し,平均ビット誤り率が低下することを確認した.更にこれを発展させ,順序付け逐次復号受信方式の実験的検証を行った. 2.MIMO伝搬特性の評価 MIMOシステムの特性は伝搬環境や送受信アンテナ配列に依存する.送受信間に見通しがある場合・ない場合のそれぞれについて伝搬実験を行い,フェージングの空間相関やアンテナ問の相互結合が平均ビット誤り率に与える影響を評価した.その結果,一般に見通しがある伝搬路は見通しがない伝搬路に比べ,特性は良好になるが,送受信アンテナの配列の影響を大きく受ける傾向があることを明らかにした. 3.MIMO-OFDMにおけるチャネルと周波数オフセット推定 前年度に提案した,40FDMシンボルの短いプリアンブル区間でチャネルと周波数オフセットの推定を行う次の方式についてシミュレーションを行い,良好な特性が得られることを確認した. (1)3サイクルのショートトレーニング系列により,周波数オフセットの粗推定を行い,これに基づき20FDMロングトレーニング区間の位相回転を補償する. (2)このロングトレーニング区間において周波数オフセットがないものと仮定して時間領域のチャネル推定を行う. (3)上記ロングトレーニング区間の位相回転量から周波数オフセットの精密推定を行う. (4)精密な周波数オフセット推定値に基づき,位相回転量を更に補償し,チャネルの精密推定を行う.
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