逆GPS方式ポジショニングシステムは、本報告者が発明人の一人となり米国で特許が成立している。また、その原理も広く認知され始めているが、実験的検討はほとんど行われていない。ここでは実験的検討を行うため、まず、キャリアレベルのシミュレータを構築し、実験装置作成のための詳細なパラメータを含む回路を検討し、コンピュータシミュレーションによってその性能評価を行った。 用いる装置のブロック線図、バンドパスフィルタの定数、群遅延の考慮、回路の簡略化などを検討し、次年度における実験装置作成の基本的知見を得た。これにより、実験装置作成への目処が立った。また、5つ以上のアンテナを用いてポジショニングを行ったときの仮のGDOP計算を用い、フィードバック的にポジショニング精度を上げるポジショニング手法の提案も行った。 一方、キャリアを超音波とした逆GPS方式ポジショニングシステムの実験装置は作成し、実験を行った。位置特定基本プログラム、GDOPの計算プログラム、4つの超音波トランスジューサ出力をPC上のAD変換ボードに入力し、データを取り込む部分の作成を行い、それでポジショニングを行う、直接単一パルス波形を取り込む方式の性能と、送信信号を単一パルスでなくスペクトル拡散信号化し、その相関演算もアナログ回路で行う方式の性能の比較を行った。その結果、ポジショニングの空間は長さで3倍以上に広がり、スペクトル拡散信号化の効果が認められた。本手法はA/D変換器への要求は極めて小さい。 以上により、来年度の電波による実験、超音波によるさらなる性能向上の実験に向け、基本的な準備が整った。
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