研究概要 |
本研究は情報機器のクロック周波数を高周波化し、温度特性の優れた共振器を探索するため、ラムは理論を用いた超高周波共振器について検討を行った。その結果、次の4点を明らかにした。 1.ラム波位相速度の解析と実験:運動方程式と圧電基本式とを境界条件の基で数値解析し,ラム波の位相速度を求めた。その結果、従来のバルク波型振動しに比べて約10倍、弾性表面波に比べて2〜3倍の高周波で動作することを理論と実験により明らかにした。 2.水晶素板の極薄化:ラム波の特長を最大限に引き出す為に,水晶結晶の厚さを極限値まで薄くする技術の確立が必要である。ウエットエッチング法で5〜3μmまで薄く研磨するエッチング液の成分比を探し、両表面が平坦で平行なエッチング条件を求めた。その結果、1.3μmまで薄く加工できることが分かった。 3.ラム波型共振器の為の励振電極と反射器の設計と実験:ラム波は弾性表面波励振に使用されている"すだれ状電極"を用いて励振出来る。そこで,励振部とラム波の反射器の構造を設計し,ホトマスクの作製と共振器の作製を行ない、アドミッタンスの測定値からラム波の電気機械結合係数を、また共振特性から反射器の反射係数を求めた。これらの測定値はそれぞれ計算値とよく一致し、ラム波の電気機械結合係数はバルク波を使用するので大きいこと、反射係数が弾性表面波モードより約100倍と非常に大きいことを確認できた。 4.温度係数の計算と最適カットの探索:ラム波の周波数温度依存性を解析した。オイラー角を任意に変化させ、温度依存性を計算したところ、1次TCF=0を示す数十のカットを見つけることができた。一例として,オイラー角(0,125.25,96)で1次TCF=0,2次TCF=0.031(ppm/(℃)^2)と良好なカットを見出した。
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