研究課題
本研究では、ロボット視覚の実現のための、能動的な空間知覚システム構成の基本理論を確立する。我々人間の空間知覚にとっての能動的な視覚の重要な機能に、3次元空間のモデルを脳内に構築、維持することができるという能力がある。視覚はその中心に位置する。そこでは、いわゆる絶対的なキャリブレーション基準を必要としない。行動をすることと、それによって獲得する画像の変化を読み取ることが鍵である。そこで、この機能における視覚システムと行動の役割の解明と、ロボット視覚として実現することが、本研究の課題である。最終年度である本年度は、前年に引き続き、実環境において視覚を有する二足歩行ロボット、ステレオカメラを取り付けたロボットアームを用いた実験を重ねると共に、最終的には、能動的なロボット視覚系とそれに基づく空間モデルの構成と運動制御系の実用化を図った。そのため、(1)能動的な視覚によるロボットの行動制御の原理を、二足歩行ロボットの運動の自由度、環境条件を拡張した実験システムの構築によって実現し、有効性を検証した。(2)実環境の認識と、行動の制御の基本原理としての能動的な視覚系の有効性を検証するため、画像処理から一体となったロボットアームの制御システムをワークステーション上に構築し実用化を図った。(3)研究を総括し、実用的な実環境下における認識システムの構築の基礎となり得る、知能機械としてのロボット視覚の理論の確立に向けて問題の整理を行った。その結果を、学術雑誌、関連国際会議などにおいて発表し、討論、評価を受けた。
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