本研究では、新しい気泡応用の超音波技術の開発を目ざして、1.超音波中での気泡ダイナミクスを評価する新しい計測手段として、我々が開発してきた超音波マイクロ・ホログラフィ法を層高精度化、汎用化し気泡ダイナミクスの評価手法を確立する。2.計測技術を武器にして、将来のドラッグ・デリバリ・システムや機能性気泡開発でのキーテクノロジーになる微小気泡の3つの超音波制御技術(気泡の大きさの制御、気泡運動の制御、気泡の共振特性の制御)を開発し、これを用いた機能性気泡の創生とその応用開発を行う、ことを目的とする。平成15年度は、超音波マイクロ・ホログラフィ法を用いた微小気泡のその場評価技術を構築し、これを用いて超音波造影用気泡、工業用気泡等多くの微小気泡の評価を行った。平成16年度は、この研究基盤の上に立ち、超音波による気泡の新たな制御技術として気泡の自己組織化を用いた気泡操作技術を開発し、その応用開拓を行った。微小気泡は超音波中で気泡から放射される2次超音波と入射超音波によりBjerknes力が気泡間に働き気泡集合を形成するが(気泡の自己組織化)この周囲に形成される大きなBjerknes力の場を利用すると、そのままでは超音波で操作できないような気泡や微小物体が捕捉できるようになる。この気泡の自己組織化とその微小物体の捕捉への応用について、理論、数値解析、実験の面で検討を行い、新たに気泡の自己組織化を用いた微小物体の捕捉技術を開発することができた。この方法は従来超音波操作が難しいと考えられてきた細胞組織や硬い殻を持つ微小気泡の捕捉や超音波操作を行うことができる画期的な方法である。これらの成果をまとめ、関連の国際会議で報告したが、特に平成16年度に3件の招待講演を行ったことは特筆できる。
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