研究概要 |
本研究では簡便かつ安価な光学式悪臭センサを開発し、センサネットワークにより情報収集して悪臭分布を計測するシステムの開発を目的とする。本年度は検知管を用いたシステムの開発及び発色プレートを用いた悪臭検出の方法について検討した。 ガス検知菅を用いた方法について述べる。前年度に光学式スキャナを用いて測定する方法を開発したが、本年度は悪臭検出の感度に関する検討を行った。検知管にガスを通気する際の蓄積効果を利用することにより、メチルメルカプタンで29ppb,硫化水素で19ppb,プロピオンアルデヒドで46ppb以下の検出限界を得ることができた。これらは従来の市販検知管の検出限界より約1桁低い。 次に妨害ガスの影響を除去する方法について検討した。本研究ではメチルメルカプタン用検知管を例にとって検討を行い、反応速度の違いを利用して干渉ガスであるアルデヒドの影響を抑えてメチルメルカプタンの応答のみを抽出できることを示した。さらにセンサネットワーク用の可搬型システムを実現するために1次元CCDセンサとワンチップマイコンを組み合わせたシステムの開発を行った。マイコンで取り込んで処理した結果はパソコンもしくは無線LANを通じてホストコンピュータにデータが送られる。この可搬型システムにより検知管の変色を読み取れることを確認した。 最後に色素プレートを用いた実験について述べる。異なる色を持つLEDの光を色素プレートに照射し、色素プレートから反射してきた光を受光素子で検出する。昨年度は金属ポリフィリンについて実験を行ったが、本年度はNile Red, Methyl Red等の色素膜についても検討を行いこれらの膜を組み合わせればアミン、酸、アルコール、アルデヒドの識別が可能であることがわかった。 これらのセンサシステムのネットワーク化についてはまだ十分ではないが、準備はほぼできており、今後実験を行う予定である。
|