研究概要 |
本研究課題においては,重力場におけるノンホロノミックシステムとして,以下の4つの制御対象を取り扱ってきた. 1.1アクチュエータ跳躍ロボットによる連続跳躍運動 このロボットは,1つの直動型アクチュエータのみで鉛直平面内を連続的に跳躍,前進を可能とする機構である.このシステムに対し,離散系として定式化を行い,サーボ系を構築することで連続跳躍が可能であることを示した.また,空気圧シリンダを用い,小型の空気圧タンクを搭載した跳躍ロボットシステムを製作し,最大14歩程度の連続跳躍に成功した. 2.デビルスティックの持続的な回転運動 曲芸の1種目であるデビルスティックを持続回転させる動作に対し,人間が操作する際の挙動を観察することで得た出力関数に対し,出力零化制御を行うことで,スティックの回転運動が引き起こされることを示した.また,産業用ロボットマニピュレータを人間の腕に見立て,実験用デビルスティックによる実験システムを構築し,最大15回転の持続回転運動の実現に成功した. 3.しなりのある鉄棒の振り上げ運動 振り上げ運動の解析・制御理論構築においてこれまで考慮されていなかった鉄棒のしなりを陽に取り入れたモデルを提案し,しなりを活用することでより早く振り上げ運動が実現できるような鉄棒およびそのしなりの物理的条件,そして制御則の導出を行った.また,線形ばねで支持された鉄棒を用いた実験システムを構築し,しなりを考慮することでより早く振り上げが実現できることを確認した. 4.上下運動を伴う倒立振子系の制御 横方向の運動だけでなく上下方向の運動を上手く利用することで,倒立振子系の安定化制御のパフォーマンス向上を図ることを目的に,鉛直平面内で運動する倒立振子モデルを双線形系として表現し,非線形II∞制御手法を適用することで上下方向の入力も適宜利用するような制御則の導出を行った.
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