研究課題/領域番号 |
15360225
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮崎 文夫 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (20133142)
|
研究分担者 |
西川 敦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (20283731)
升谷 保博 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (80219328)
|
キーワード | 運動学習 / メモリーベースド制御 / 入出力マップ / LWR(Locally Weighted Regression) / 学習制御 / 軌道追従 |
研究概要 |
「人間とほぼ同等の技能を有する卓球ロボットの実現」を主目的とする研究を行い、以下の結果を得た。 1.スピンへの対応 仮想ターゲットを決定するマップの入力は、2台のCCDカメラと画像処理システムを通して1/60msecごとに得られるボールの3次元位置の時系列データから生成するが、ラリーの途中でボールのスピンが変化する場合は、入力を適切に定義しなければマップの一意的な入出力関係が損なわれる。そこで、適切な前処理と入力選択を行うことにより、スピンの変化にも対応できる入出力マップを獲得した。この入出力マップの有効性は、様々なスピン・速度で再現性よくボールを打ち出せる打球機による実験ならびに対人ラリーによって確認した。 2.待機戦略の検討 ボールの動きをとらえる視覚処理系のサンプリング時間(1/60秒)を考慮して待機タスクの許容時間を約0.2秒とし、その時間内に仮想ターゲットの決定を行うものとすると、通常のラリーが続くボールスピードであれば、約0.2秒でラケットを待機位置から仮想ターゲットの位置および速度に到達させなければならない。しかし、ラケットの加速能力には限界があるため、待機位置をうまく選ばなければ、仮想ターゲットが実現できない状況が頻繁に起こる。この問題に対し、当初は打撃直前の対戦者のラケット位置や姿勢から適切な待機位置を決定する戦略について検討したが幾つかの問題が浮上したため、待機タスクの許容時間を短縮する方法に変更した。これに伴い、ラケットの加減速パターンを途中で切り替えるための制御手法を新たに考案した。 3.入出力マップの効率的学習・検索方法の検討 入出力マップの入力の次元が高くなると、マップの検索と補間に要する時間が増加し、視覚処理系のサンプリング時間(1/60秒)内にコントローラへのコマンドを生成できなくなるおそれがある。また、再現性の高いデータのみを適切に選んで効率的にデータベースを構築していくために、統計的なデータ処理も欠かせない。この問題に対処するための入出力マップの効率的学習・検索方法について検討した結果、マップの性能を大幅に向上することができた。
|