研究分担者 |
金子 真 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70224607)
田中 良幸 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40336920)
福田 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 実環境計測診断研究ラボ, 研究員 (20357891)
大塚 彰 広島県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (50280194)
笠井 達哉 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (60112702)
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研究概要 |
平成18年度は,前年度までに構築した対戦型運動訓練システムに組込んだ仮想カーリング作業に対する訓練実験を健常者多数により実施し,対象作業の訓練規範と期待される訓練効果を明確にした.そしてまた,指先による予見型追従運動実験を行い,運動作業の難易度に応じて運動系と上位中枢系の活動関係が変化することを脳神経科学の側面から明らかにした.主要な結果は以下の通りである. 1.仮想カーリング作業における人間の感覚運動特性 健常者18名による作業スキル獲得の訓練実験を行い,仮想カーリング作業の学習過程における手先の空間・時間軌道の推移と訓練規範となる手先速度波形の特徴を明確にした.また,ハンドル慣性の変化に対する被験者の手先軌道と手先インピーダンスの関係から,健常者はストーンのダイナミクスに応じた手先速度波形を生成するように,自らの筋骨格系を積極的に調整することを示した.これにより,仮想カーリング作業を通じて訓練者は(1)作業環境の特性を知覚する能力,(2)リリース後のストーン挙動をシミュレートして最適な手先軌道を計画する能力,そして(3)作業目的を達成するために自らの運動特性を調節する能力という,人間の運動制御メカニズムを構成する基本能力の訓練を統合して行えることを確認できた. 2.運動作業の難易度による運動系と上位中枢系の相互関係 人間の運動訓練効果と学習メカニズムを脳機能レベルから検証することを解明するため,fMRI環境下で使用可能な力センサを用いて指先の印加力による追従運動実験システムを構築した.そして,目標軌道として与える正弦波の周波数を変化させ,脳賦活部位を健常者7名に対して観測した.その結果,運動系では同じ活動量であっても,目標軌道の周波数(作業の難易度)に応じて,補足運動野を中心として脳活動部位が変化することを確認した.これにより,訓練者の運動能力に応じた訓練難易度や訓練効果を,脳機能レベルから解析評価できる可能性を示すことができた.
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