研究分担者 |
金子 真 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70224607)
田中 良幸 広島大学, 大学院工学研究科, 助手 (40336920)
福田 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 実環境計測・診断研究ラボ, 研究員 (20357891)
大塚 彰 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (50280194)
笠井 達哉 広島大学, 大学院国際協力研究科, 教授 (60112702)
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研究概要 |
人間の優れた運動能力は主に中枢神経系と運動神経系の相互作用によって実現されているが,効果器である筋骨格系自体にも生体運動の鍵を握る重要な特徴がある.筋は単なる力発生器ではなく粘弾性要素としての性質を備えており,しかもその粘弾性特性は筋の活動レベルに依存して大きく変化する.もちろん手先の慣性特性は腕全体の姿勢によって大きく変化する.人間は,筋レベルの機械インピーダンス(剛性,粘性,慣性)と関節レベルの姿勢制御をうまく組み合わせて,作業に必要な運動制御特性を巧に調節していると考えられる. 本研究では,人間の筋運動系のインピーダンス特性をシステム・制御論の観点からモデル化し,その筋インピーダンスモデルに基づいた新しいトレーニングシステムを開発した.そのため,[1]ヴァーチャルリアリティ技術を利用したヴァーチャルスポーツシステムを新たに構築し,対象物のダイナミクスに依存した人間の手先インピーダンスの変化を実験的に計測・解析・モデル化した.そして,[2]自らの筋インピーダンスの調節能力と対象物インピーダンスの知覚能力の2つの観点から人間の能力を実験的に解析し,運動と感覚の両面からインピーダンス特性を評価する新しい統合理論を提唱した.そして,以上の結果を踏まえて,[3]2自由度リニアモータと可変インピーダンス制御に基づくインピーダンス・トレーニングシステムの開発を行った.このシステムでは,訓練者はインピーダンス知覚能力とインピーダンス調節能力を統合的に訓練する. このトレーニングシステムを実用化することにより,筋運動系の特徴を考慮した効果的な運動リハビリテーションを実現できるだけでなく,在宅で補助的にこのシステムを利用することにより現在の理学療法士不足の問題をある程度,改善できる可能性がある.
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