研究課題/領域番号 |
15360231
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
堺 孝司 香川大学, 工学部, 教授 (20002206)
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研究分担者 |
末永 慶寛 香川大学, 工学部, 助教授 (00284349)
吉田 秀典 香川大学, 工学部, 教授 (80265470)
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キーワード | 溶融スラグ / コンクリート / 強度 / 耐久性 / スラグ基質 / 水域環境修復 / 超音波 / 伝播速度 |
研究概要 |
本研究は、一般・産業廃棄物溶融スラグを用いたコンクリートの材料・力学的性質を明らかにするとともに、それらの非破壊性能評価技術の開発、再利用の際の安全性、及び海洋環境修復におけるスラグコンクリートの効果についての広範な検討を行うことを目的とする。 スラグコンクリートの材料・力学的性質に関しては、スラグの磨砕の効果と、梁を用いた力学的挙動に関する検討を行った。産業廃棄物溶融スラグと2種類の都市ごみ溶融スラグに磨砕を施し、コンクリートの細骨材として用いると、コンクリートの単位水量を著しく低減させるとともに、コンクリートの強度増加あるいは強度低下を抑制させることなどが明らかになった。スラグの磨砕は、スラグ中に含まれる重金属の含有量や溶出に影響することが考えられるが、試験の結果、鉛の含有量が若干増加するものの、これらは環境省の基準値を超えることはなく、特別な問題は発生しないことがわかった。これらの結果は、スラグコンクリート再利用の際の安全性を担保するものである。また、産業廃棄物溶融スラグを鉄筋コンクリート梁への適用性を調べるために、細骨材の一部に溶融スラグを用いたRC梁の曲げおよびせん断ひび割れについて検討した結果、溶融スラグを用いたRC梁の曲げおよびせん断挙動は一般的な方法で評価できること、またRC梁の曲げひび割れ幅は、土木学会コンクリート標準示方書の曲げひび割れ幅算定式を用いることにより安全側に評価されること、等曲げ区間の総ひび割れ幅は圧縮強度50N/mm^2程度を境にその挙動が異なること、コンクリートの割裂引張強度に対するスラグ混入の影響は圧縮強度に対する影響より大きいこと、などが明らかになった。 また、海洋環境修復に関しては、底質環境が悪化している海底に約2.5m^2の範囲でスラグを敷き詰め(試験区)、敷き詰めていない場所(対照区)との底質の改善効果を比較・検討した。その結果、CODに関しては、設置直後は、試験区の値は対照区より高かったが、3ヵ月後には逆に試験区が低い値となってきた。また、硫化物については、設置後4ヶ月の時点で、試験区の値は対照区の67%まで底質中の濃度が低下しており、底質改善効果が発揮され始めていることが推察された。今後調査を継続し,季節変化も検討する予定である。
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