研究課題/領域番号 |
15360238
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 直志 京都大学, 学術情報メディアセンター, 教授 (90127118)
|
研究分担者 |
吉川 仁 京都大学, 工学研究科, 助手 (90359836)
高橋 徹 理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 基礎科学特別研究員 (90360578)
|
キーワード | 高速多重極法 / 超音波 / レーザ / 非破壊評価 / 高速解法 / クラック / 境界要素法 |
研究概要 |
高速多重極法の研究においては、まず、時間域の解法における下向きパスの改良をおこなった。従来のアルゴリズムでは、下向きパスの時間方向の階層性が明確ではなかったのを改良し、完全な時空の階層性を有するアルゴリズムを得た。この結果、解析効率は飛躍的に向上した。さらに空間方向の木構造に従ってアルゴリズムをハイブリッド並列化し、巨大問題の解析が可能になるようにした。この結果、空間方向に100万自由度規模、時間方向に100ステップ規模の問題が解けるようになった。次にこれを非破壊評価問題に適用するために、表面クラック問題への応用を検討した。この結果、考える周波数や亀裂のサイズにおいてはいわゆる低周波問題が発生する事がわかった。これは、多重極法で扱い得る時間ステップ数が極端に少なくなってしまう現象であり、これまでの取扱とは少々異なる手法を用いる必要がある事を意味する。幸い、波動方程式における低周波問題について既に解決のためのアイデアを得ており、来年度以後これを3次元問題や、弾性問題に適用して行く目処は立っている。 超音波非破壊試験においては、トランスデューサを用いて供試体内部に弾性波動場を形成し、供試体表面の斜め方向からレーザ干渉計(小野測器LV-1710)を用いて、供試体表面の速度の鉛直方向成分、水平方向成分を計測した。供試体表面の速度の鉛直方向成分・水平方向成分を用い、供試体の表面クラックを従来より高い精度で決定した。また、弾性波の励起にパルスレーザを用い、パルスレーザによって励起される超音波の同定も行った。今後、これらの結果を多重極法を用いた数値計算法と結合するとともに、目標とするMHzオーダーの入力周波数を用いた実験へと適用範囲を広げて行きたい。
|