研究概要 |
2次元剛体模型のスパン方向に3分割された各部分に,個々に独立な変動気流を発生可能な3次元変動気流発生装置(試作)を用い,空間的に非一様な変動気流の作用による模型表面圧力のスパン方向時間空間分布を計測した.とくに鉛直変動気流の換算振動数(k=bω/U, b:断面半幅員(m),ω:鉛直変動風速の円振動数(rad/sec),U:平均風速(m/s))を広範囲にわたり変化させ,換算振動数の変化による表面圧力の空間分布の変化,および流れのパターンの変化に詳細な検討を加えた.(0.71≦k≦1.88)また,スパン方向の中央部のみに鉛直変動風速を作用させ,両端部は変動のない一様な気流を作用させた状態で一連の計測を行った.その結果,最も周波数の高いk=1.88では,スパン中央部で強い圧力変動の流下が認められるものの,スパン両端部では顕著ではなく,鉛直変動気流による圧力変動がスパン方向に十分に伝達されない特性が見いだされた.この換算振動数は自己励起渦がもっとも安定して生成されることから,渦の発生はスパン方向の相関増加には直接関与しないものと判断される.一方,最も周波数の低いk=0.71では,反対に中央部における圧力変動は顕著ではなく自己励起渦の発生が弱まる反面,スパン方向にはより均一な空間分布を示した.また,この中間の換算振動数域では上述の相反する圧力パターンが,kの変化に伴い一方から他方へとほぼ連続的に変化した.以上のことより,表面圧力のスパン方向の相関増加には断面が本来有する剥離せん断層と剥離バブルが最も重要であり,鉛直変動気流は剥離せん断層,剥離バブルに対して強制的な時間変動を与えるものと推測された. 以上の成果は,断面形上に固有の空力アドミッタンスやジョイントモードアクセプランスの関数形状を評価する上で重要な情報を与えるものである.
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