研究概要 |
これまで開発された摩擦攪拌接合によって製作されたアルミニウム床版は閉断面であったために,摩擦攪拌接合部の裏面を目視検査することができなかった.本研究では,摩擦攪拌接合部の裏面の目視検査ができるように,開閉断面のアルミニウム床版を設計・製作した. 閉断面の上フランジの両側に突出部を設けた押出形材を設計した.この押出形材の突出部を摩擦攪拌接合で接合し,アルミニウム床版を製作した.水平補剛材を設けないときのウェブの幅厚比の限界に対して鋼主桁を設計・製作した.アルミニウム床版と鋼主桁との連結構造は,鋼主桁の上フランジに3本の鋼スタッドを溶植し,鋼主桁の上フランジとアルミニウム床版との間およびアルミニウム床版の閉断内に無収縮モルタルを充填する構造とした. アルミニウム床版の構造挙動は有限要素法解析で推定できること,鋼主桁の垂直補剛材の側辺とウェブの上端に大きな局部応力が発生することを明らかした. アルミニウム床版の現場継手に摩擦接合用鋼製高力ボルトを使用した.アルミニウム材表面の摩擦係数を確保するために,アルミニウム材表面の粗さを制御した試験片の引張試験を実施し,アルミニウム材表面の粗さと摩擦係数の関係を明らかにした.摩擦接合用鋼製高力ボルトを用いて,アルミニウム床版の側辺および材端の現場継手を考案し,両継手の耐荷力と疲労強度を確認する試験体を製作した. アルミニウムと鋼は線膨張係数が2倍違うので,アルミニウム床版と鋼桁とを連結すると,温度変化によって,アルミニウム床版に無視し得ない応力が発生する可能性がある.そこで,アルミニウム床版と鋼桁との合成の程度,すなわち合成度を明らかにする必要がある.このために,アルミニウム床版と鋼桁との合成桁を製作した.
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