研究概要 |
埋立地に投入される高含水比の俊深粘土は,泥水状態から時間経過に伴い沈降堆積・自重圧密過程およびその後の覆土による載荷圧密過程を通じて,体積が減少し,せん断強度が増加する.本年度は,ラジオアイソトープ(RI)センサーを用いた高含水比の浚渫土に対する沈降試験を実施し,RIを用いた密度測定手法の有効性とその精度に関して検討した.また,RIコーン貫入試験を自重圧密過程にある浚渫埋立地盤において実施し,その適用性に関しても検討した.得られた主な知見は以下のようである. 1.γ線を用いたRIセンサーは,高含水比の浚渫土に対する沈降試験において,清澄水(海水),懸濁液および堆積土のそれぞれの状態における密度の差異を精度良く測定することができる.また,試料高さと経過時間の座標において,清澄水と懸濁液の密度をしきい値として等密度線を描くことにより,沈降堆積・自重圧密過程における状態変化を明瞭に区分することができる. 2.自重圧密過程にある浚渫埋立地盤においては,RIコーンによる密度検層はたいへん有効であり,湿潤密度,含水比および間隙比の算定値に対するそれぞれの適合性は良好である.また,コーン貫入に伴う過剰間隙水圧の発生量はたいへん小さいが,貫入停止後の間隙水圧の消散には24時間以上の長時間を有することを示した. 3.RIコーンにより得られるe〜log(σ_<va>u_o)関係(e:間隙比,σ_<vo>:全土被り圧,u_o:静水圧)は,浚渫埋立粘土,沖積粘土ともに直線近似できることを示した.また,その時点での過剰間隙水圧を別途測定することにより,RIコーン貫入試験の結果から,浚渫埋立粘土のe〜logP関係および圧縮指数を推定することの可能性を示唆した.
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