研究概要 |
1.自然粘土の構造特性,とくに構造の程度と劣化のしやすさに関する研究 自然粘土の構造特性,とくに作製過程の違いによる構造の程度および構造劣化のしやすさの違いを調べる目的で,3種類の異なる粘土試料,常磐粘土,上越粘土,川崎粘土に対し,不撹乱,再構成,繰り返し粘土試料を用意し,標準圧密試験を実施した.常磐,上越粘土ともに高塑性の粘土(CH)で,川崎粘土は低塑性の粘土に分類される.試験結果から,圧縮特性を把握するためv〜logσ_v'関係を,圧密特性として特に載荷24時間後でのc_α=Δe/Δlogtを求めた.その結果,以下のことがわかった.(1)再構成粘土であっても,不撹乱試料はどではないが,「構造」を有する.また構造が顕著に喪失する荷重では,載荷24時間後での沈下速度が大きくなる.(2)繰り返し粘土の比体積v(=1+e)〜logσ_v'関係はほぼ直線となるが,24時間後でも若干の沈下速度が観察された.(3)同一粘土の場合,自然堆積・再構成粘土のv〜logσ_v'関係は,荷重が大きくなるにつれ,繰り返しのそれに漸近する.(4)高塑性粘土は,再構成粘土において高位な構造を持つが,低塑性粘土は,高位な構造をもたない. 2.高塑性・低塑性粘土の再構成試料作製過程での初期異方性の発展に関する研究 さらに,川崎粘土(低塑性)と常磐粘土(高塑性)の2つの粘土を用い,再構成粘土を作製し,非排水三軸圧縮試験を行い,初期構造の程度と初期異方性の程度の関係を調べた.そして以下の結果が得られた.低塑性粘土と高塑性粘土の再構成試料を比較すると,低塑性粘土においては,構造ははとんど喪失して低位であり,逆に初期異方性の程度は大きい.一方,高塑性粘土においては,一次元圧密過程で構造が高位な状態で維持され,逆に初期異方性の程度は小さい.このように再構成粘土においては,予備圧密過程を経て,初期構造と初期異方性は互いに関連し合っている.
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