研究概要 |
地盤・地下水調査において,地盤・地下水の環境動態のモニタリング方法や水分挙動を支配する飽和・不飽和浸透特性値の原位置試験方法の開発は急務である。本研究では,不飽和地盤内の浸透挙動が大きな影響を及ぼす浅層地盤での土壌・地下水汚染問題や不飽和地盤の工学的評価への貢献を背景として,シンプルでコンパクトな原位置調査・試験システムの開発を目的とする。 平成15年度の研究実績概要は以下のように要約される。 1.地表型地中レーダ探査システム(周波数400MHz送・受信アンテナ付属)を設備備品購入し,そのシステムを用いて,実際の河川堤防地盤条件における電磁波伝播速度データを計測し,その感度特性,測定範囲および適用土質の明確化について検討した。また,土壌水分センサーによってリファレンス水分量を測定し,地表型地中レーダによる不飽和地盤内の水分動態計測の精度を検証した。その結果,地表型地中レーダと電磁波式水分計によって計測された電磁波伝播速度データには多少の差違が認められ,地中レーダによる探査深度の定量的評価において影響を及ぼすことから,今後の検討課題であることが指摘された。 2.単一浸潤リング型の定水位透水試験装置をベースに,同一地点多深度にて水分量の計測が可能な土壌水分センサー(プロファイルプローブ)を用いた土の不飽和透水係数の原位置測定システムを開発した。プロファイルプローブ計では,深さ0.4mから1m程度の地盤の水分量を,複数点で非破壊的に測定できる。地盤をいったん飽和させたのち,自由排水に伴って生じる水分量の経時変化をモニターし,インスタンティニアスプロファイル法に基づいて土の不飽和透水係数を決定する。砂質地盤における原位置試験を試み,ウェルパーミアメータ等と組み合わせることにより,実務的な原位置飽和・不飽和透水測定システムの開発が可能になることを示唆した。
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