研究概要 |
本研究では,傾斜荷重を受けるサクション基礎の支持力特性機構について,アルミ棒積層地盤を用いた傾斜載荷試験および有限要素解析を行った.結果,(1)サクション基礎の水平極限支持力は,内外径比が小さくなるにしたがって大きくなり,D/B=1.1,鉛直極限支持力44.1Nの場合,中実基礎に比べて,4〜5割低下する.(2)根入れ幅比が大きくなる,および相対密度が密になるにしたがって,水平極限支持力は大きくなる.(3)基礎の側面,基礎直下にくさびとして,ひずみが発生する.しかし,基礎周辺に近い部分にのみ,ひずみが発生している.(4)根入れ幅比が小さくなるほど,すべり破壊に移行し,根入れ幅比,傾斜角が大きくなるほど,くさび破壊に移行する.浮き上がり破壊は,その過渡領域に存在する.(5)同荷重を受けた場合,根入れ幅比が小さいと,内外径比が大きくなるほど,変位量が小さく,根入れ幅比が大きくなると,内外径比が小さくなるほど,変位量が小さくなる.また,偏心荷重を受けるサクション基礎の支持力特性について,アルミ棒積層地盤を模型地盤として用い,サクション基礎および中実基礎に関する偏心載荷実験を行った.結果, (1)鉛直極限支持力は,偏心量が増加するほど小さくなる. (2)偏心載荷における,中実基礎に対するサクション基礎の極限支持力の割合は,開口率の増加にしたがって,また,根入れ幅比が小さくなるにつれて大きく減少する. (3)各抵抗成分の分担率はある一定の割合に収束する. (4)基礎沈下直後は,偏心方向とは逆方向(左側)の先端抵抗が発揮される.その後,左側の基礎先端部を中心に基礎が回転し,徐々に右側の側壁による周面抵抗が発揮される. (5)偏心量の小さいケースにおいては,両端の基礎先端部直下に大きなひずみが生じるが,偏心量の大きなケースでは,基礎先端部直下にはあまり大きなひずみは生じない. (6)偏心載荷の場合は,地表面付近まで影響が及び,ひずみが発生している.一方,中心軸載荷の場合は,地表面付近には全くひずみは発生していない.更に,サクション基礎の引抜きに対する支持力特性について,粘性土地盤を用いた実験を行い,サクションの発生分布や引抜き時の破壊モードについて明らかにした.
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