研究分担者 |
鯉渕 幸生 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 講師 (60349800)
佐藤 愼司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90170753)
磯部 雅彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20114374)
本田 隆英 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70361524)
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研究概要 |
河川と海岸および沿岸域にわたる広領域を一連の流砂系としてとらえ,系全体での土砂動態の解明を通じて長期海浜過程の実態を解明した.平成15年度には,河口周辺の長期海浜地形変化を主たる対象とすることとし,高度経済成長を遂げた最近30年間にダムの建設,土砂採取,河口処理施設の建設が進み,地形が大きく変化した酒匂川・相模川・湘南海岸流砂系で総合的な観測を実施した.具体的には,過去の空中写真,海岸・河川の測量データやダム堆砂量データを用い,土砂供給量や土砂移動量を評価するとともに,それをもとに長期海浜過程を推定した.さらに,海岸および海底の底質を柱状試料の形で採取し,軟X線撮影装置による写真分析により堆積過程を解明するとともに,その鉱物種や粒度等の特性から土砂移動機構の推定を試みた.その結果,ダムの上下流で表層堆積物の組成が急変すること,および,約40年前に実施された調査と比較すると,河川流域に特徴的な火成岩礫がそれぞれの河口周辺に見られにくくなっていることが判明した.これらは,流域の人的インパクトが広い範囲に及びつつあることを示している.また,相模川河口部のコア試料を分析した結果,河口周辺には比較的古い年代の堆積物しか見られないことがわかり,侵食の激しさが裏付けられた. 表層堆積物の分析は,東京湾三番瀬干潟および茨城県久慈川・那珂川流砂系でも実施した.三番瀬干潟では,地盤沈下と周辺の埋め立ての影響により地形変化が進んでいること,および,河川と海岸の砂の分析により流砂系における河川の影響範囲を推定できることが明らかになった.
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