研究概要 |
従来,砕波の数値解析が困難を極めたのは,自由水面の取り扱いの困難さ故であった.近年,自由水面のトラッキング手法が急速に発達し,幾つかの有力な水面追跡法が砕波現象に適用されて実績を上げている.本研究では,粒子法,密度関数法といった新しい界面追跡手法を導入してこの問題に対処するのはもちろん,従来の単相流的扱いから一歩踏み込んで,固液,気液といった先端的な混相流モデルに基づく砕波帯を対象とした計算を実施する.なお,研究過程では,固液と気液,Euler型モデルとLagrange型モデルなどの多角的観点から,分担者がこれまでに蓄積を有する個々のモデルを深化させ,近い将来の統合型のシミュレーションの実施に向けたモデルの相互理解と高速計算の基礎技術開発を特に念頭に置いた. 以下に,研究課題を列挙する. 1.気液混相流のモデリングに関する研究 2.波浪場における構造物・流体連成のモデリングに関する研究 3.固液混相流のモデリングに関する研究 4.数値造波水槽の構築 課題1では,自由表面の追跡精度の向上と気相・液相の相互作用に関してモデリングを展開した.課題2では,CIP法や粒子法を軸に,流れと構造物の連成モデルを開発し,波浪場に適用して有効性を検証した.課題3では,粒子群に誘起される流れの基礎特性を物理実験によって把握し,Euler-Lagrangeカップリングによる固液混相流モデルや3次元個別要素法コードによる混合砂の流動解析を実施した.課題4では,MPS法を並列化して,100万超粒子の取り扱いが可能な数値造波水槽の開発を行った.また,越波量推定に対する粒子法の有効性を水理実験を通じて検証した.
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