研究概要 |
離岸流を含む極浅海域の流体運動は,漂砂移動などの物質輸送において重要な役割を果たしている.安全で快適な海浜リクレーションの場を提供するためにも,その発生条件,時空間変動特性を明らかにする必要がある.研究代表者らは,2002年に離岸流による事故で2名が水死した鳥取県浦富海岸で離岸流の実測を開始し,この2年間で発生原因の異なる幾つかの離岸流をとらえることができた本年度は,実測された離岸流のうち,2つの地形性離岸流を取り上げ,実測結果に基づいてその発生条件,特性について検討すると同時に,数値計算により再現を試みた. 離岸流の観測は,2003年7月2日〜9日の間に鳥取県浦富海岸で行った.浦富海岸は長さ約1.4kmの砂浜海岸で,そのほぼ中央の水深約5mの唖置に天端水深2m,天端幅30m,長さ400mの潜堤が2基設置されている.この海岸の潜堤開口部沖水深約7mの地点に超音波式波高計,開口部背後水深約3mの地点にADCP,離岸流が発生しそうな極浅海域に10台の圧力式波高計と2台の電磁流速計を設置し,波と流れの計測を行った.同時に,風速が7m/s以下の時には,約100〜150m上空に係留した飛行船からのビデオ撮影により,離岸流の流況観測を行った.その結果,明らかに発生原因が異なると考えられる数種類の離岸流を捉えることができた.本研究では,そのうち汀線の凹部と凸部から発生した2つの離岸流をとり上げ,流れの特性,発生条件について検討を加えた.汀線の凸部から発生した場合は,明確なfeeder channelとrip-Channelが形成されていた.さらに,波状等深線を持つモデル地形上での海浜流の数値計算により,feeder channelの有無によって離岸流の発生する位置が異なることを確認した. 来年度は,ビデオ画像解析の精度を高めるため,本研究費で購入したRTK-GPSシステムを海上reference pointsとする画像処理システムを構築する予定である.
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