研究概要 |
固相誘起型固液混相流場の計測手法として,流体運動が極めて速いことと本研究で購入した高時間解像度・高空間解像度画像解析システムの特徴を考慮して,微小時間における中立粒子の流跡を撮影し,撮影された流跡を基に流体運動を計測する「流跡線連結法」なる新たな画像解析手法を開発した.これによって,従来の手法では粒子の対応付けの困難さのために十分な精度を有する計測が困難であった高速度固液混相流場における高時間解像度・高空間解像度を有する計測が可能になった.本手法を斜面上を運動する粒子群によって誘起される粒子-流体相互作用現象に適用した結果,高密度固相界面極近傍における流体運動の計測も可能であることを示すとともに,固相の運動に誘起される波の生成過程の詳細を把握することができた. 液相誘起型固液混相流場の計測手法として,2台のデジタルビデオカメラに透過波数の異なる光学フィルターを装着し,蛍光着色した中立粒子と底面砂にレーザー照射してそれぞれ励起光,反射光を選択的に記録し,PIVによる両相の速度分布を測定する手法を開発した.本手法を移動床上の浮遊イベント時の砂-流体相互作用現象に適用した結果,流体は底面近傍で上方へ向かう流れが卓越するが,砂はこれに追従せず形成されるリップルのクレスト方向へ移動する傾向があること,すなわち,浮遊砂は流体に対してパッシブな挙動をとらないことが明らかになった.また,移動床上では,固定床と比べ境界層の剥離による力学的な影響が小さく,砂の浮遊に伴う流体の撹乱が乱れの生成の主要な役割を果たしていること,さらに,砂の浮遊にはこの撹乱に伴い強化された渦の再付着が大きくかかわっていることがあきらかになった.
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