研究概要 |
平成15年度は、釧路湿原、標津川の自然再生事業を中心に、河川・湿地における自然復元の考え方と調査・計画論をまとめるとともに,直線河道を残しつつ旧川を利用した蛇行復元された標津川の試験区間における河道の変化を,現地踏査および測量により把握した.また,復元された蛇行河道の維持上重要な直線河道と蛇行河道の分岐部における流れの実態把握を行い,検討を行った.さらに,河川環境を考える上で重要な要素である河道内樹木について,平成15年8月の沙流川洪水時の流木の挙動の調査を実施した。 平成15年度の標津川試験区間の河道は,通水開始から1年以上経過し,比較的大きな出水を前年度経験したことから急激な河道の変化が治まり,今後の経年的な河道変化の傾向を把握することが可能であった。その結果,試験区間の河道変化は,通水後,河道の湾曲及び河床に形成される交互砂州に起因する流れの偏りと交互砂州による河岸部の洗掘による河岸の侵食によって引き起こされ,湾曲と交互砂州によって形成される複雑な流れを精度良く把握する必要があることが明らかとなった.ヒのことから,直線河道と蛇行河道が分合流する2way河道内の流れを再現する2次元平面流況数値モデルの開発を進めるとと右に,分岐部における流砂の挙動を理論的に解明しそのモデル化を図った.また,沙流川におけ流木調査の結果,河道内樹木は流木の供給源として考えられるが,流木化する量に比して上流からの流木の捕捉量が上回っており,河道内樹木の流木の捕捉効果についても評価されることが判明した.さらに、現状の生態系についてその構造と機能、健全性を評価する手法、さらに劣化した生態系を修復するための方法について、水生昆虫、魚類、安定同位体を指標として検討した。その結果、河川の横断的連続性、さらに適度な撹乱の許容が、生息場環境の形成と維持に重要であることが確認された。
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