研究概要 |
平成15年から3ヵ年の研究により,標津川大草原橋下流での旧川蛇行復元手法において,先行する試験地の現地調査結果を基に,治水・自然環境の視点から,現直線河道・旧蛇行河道並列通水方式(2ウエイ案)が有力視される結果を得た. 以下に主な成果を列挙する. 1.中規模河床波が形成される河道の河岸浸食を再現するための水理模型実験手法を行うにあたり最適な河岸・河床形成材料を試験地の実測データを基に選定を行った結果,比重が通常よりも軽く弱い粘着性を持つ材料が最適であることを見出した. 2.現地踏査により旧川位置と直線河道の形状の関係から合流部および分流部の最適な法線形状の検討方法を開発した.すなわち,(1)ポテンシャルモデルによる合流部の流速分布解導出,(2)流線湾曲に伴う2次流算定により底面流速および底面勇断力予測,(3)流砂量分布の算定,(4)流砂連続式により河床変動量算定方法である.なお,並列通水方式を採用する場合,合流部の河床低下は無視できない影響をもたらす結果が得られた. 3.倒木を投入した水衝部では、倒木のない水衝部(または、相対的に水深の深い場所)よりも、「多様な齢級」且つ「高い密度」でサクラマスが観測された。さらにサクラマスは、倒木によって創出された多様な環境を各齢級で使い分けており,倒木は魚類個体群の生活環を保全する上で一つの有効な手段と考えられる。 4.河跡湖である旧川において環境負荷物質の収支調査を行うとともに水質予測モデルを構築し,その再現性を確認した.また,湿地における地下水位予測モデルを構築し,河川水位の変化に伴う河川近傍の地下水位変化の影響特性を明らかにした.
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