研究概要 |
研究初年度である本年度においては,以下の3テーマを実施した. 1、土地利用と交通ネットワークの相互作用関係,交通ネットワーク信頼性に関する文献調査 既往の研究資料・文献に基づき,交通ネットワークと土地利用の相互作用関係,交通ネットワーク信頼性の評価指標に関する研究動向,ならびに適用事例の把握を行った.各ネットワーク信頼性評価指標の特徴ならびに問題点を整理するとともに,交通ネットワークの整備・運用の効果を推定する上での時間信頼性指標の持つ意義についてまとめた. 2、交通ネットワーク整備の都市再生への貢献に関する検討 都市の再生に寄与する交通ネットワークシステムの構成に関する基礎的検討を行った.吸収マルコフ過程の考え方を利用して,交通システムの整備方策が都市再生にどのような影響を及ぼすか分析した.整備方策としては,都市外郭部の環状方向交通システムの整備,ノードで代表される都市内各ゾーンの魅力度向上施策(例えば交通結節点の重点整備)ならびに重点整備すべきノードの選択・配慮などを対象とした. 3、ネットワーク信頼性概念を用いた道路整備計画の事前評価手法の開発 ネットワーク整備計画策定時における時間信頼性の評価手法について検討した.比較的計算のための情報が少なく,なおかつ一意に解を導出可能な均衡配分理論に基づく評価を行った.具体的には,利用者均衡配分に対する感度分析手法を応用し,時間信頼性の観点から交通ネットワークの整備・容量増強計画を評価するための方法論を提案した.このモデルを用いて,具体の道路ネットワークを対象として数値計算例を行い,その計算結果より,方法論の特長・適用限界を検討した.
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