ITの進展を考慮した持続可能な都市内物流システムに関する研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15360277
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 谷口 栄一 京都大学, 工学研究科, 教授 (70252468)
• 研究分担者: 山田 忠史 広島大学, 工学研究科, 助教授 (80268317) ; 倉内 文孝 京都大学, 工学研究科, 助手 (10263104) ; 宇野 伸宏 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80232883)
• キーワード: 物流 / シミュレーション / E-コマース / 配車配送計画 / 共同配送

研究概要

都市内において、従来型の都市内配車配送計画と、E-コマースの普及を考慮した都市内配車配送計画の両方のモデル化を行った。従来型の都市内配車配送計画においては、納入事業者が、都市における配送拠点から、小売店に貨物を配送し、消費者は、小売店に買い物に行くが、E-コマースの普及を考慮した都市内配車配送計画においては、E-コマースによる商品は、直接宅配事業者が自社の配送拠点より家庭に配送する。そのようなケースにおいて、各小売店および家庭は、配送時刻を指定していると仮定し、総費用を最小化するようなモデルを構築した。このモデルを仮想道路ネットワークに適用し、各企業にとってのコスト削減および総走行時間、NOx排出量の変化を推定した。その結果、E-コマースの普及率の増加に伴ってトラックの総走行時間やNOx排出量が増大し、交通および環境への負荷が増大する可能性があることがわかった。ただし、E-コマースの普及率が10%以上になり、従来型の買い物を中止する家庭が増えて乗用車による買い物交通の削減率が高い場合には、この傾向は抑制される。
E-コマースの普及により、直接消費者の家庭に配送される貨物が増加し、さらに各消費者が配送時刻指を行った場合は、さらに都市内集配トラックが増加することが予想される。そのようなことを防ぎ、環境悪化を防止するために、宅配事業者の共同配送、指定配送時刻のグループ化、E-コマースによる商品を受け取るピックアップポイントの設置などの施策が考えられる。このような施策を実施した場合の総費用や総行時間、NOx排出量の変化を推定した結果、これらの施策を実施することによって、総費用を削減できるとともに、総走行時間、NOx排出量も削減できることが明らかになった。

研究成果

• [文献書誌] Taniguchi, E., r.G.Thompson, Yamada, T.: "Predicting the effects of city logistics schemes"Transport Reviews. Vol.23,No.4. 489-515 (2003)
• [文献書誌] Taniguchi E., Nakanishi, M.: "ITS based dynamic vehicle routing and scheduling with real time traffic information"International Journal on ITS Research. Vol.1,No.1. 49-59 (2003)
• [文献書誌] Taniguchi, E., Kakimoto: "Effects of e-commerce on urban distribution and the environment"Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies. Vol.5. 2355-2366 (2003)
• [文献書誌] Taniguchi, E., Kakimoto: "Modelling effects of e-commerce on urban freight transport"City Logistics. Vol.3. 143-154 (2003)
• [文献書誌] 谷口栄一, 秦健太郎: "Eコマースの影響を考慮した都市内貨物社交通施策に関する研究"土木計画学研究・講演集. Vol.28(CD-Rom). (2003)
• [文献書誌] 谷口栄一, 玉川大: "Eコマースの視点から見た将来貨物車交通に関する一考察"土木計画学研究・講演集. Vol.28(CD-Rom). (2003)
• [文献書誌] Taniguchi, E., R.G.Thompson (EDS.): "City Logistics III"Institute for City Logistics. 484 (2003)