研究概要 |
高齢運転者の道路標識判読およびそれにともなう運転挙動を,仮想空間創出(バーチャル・リアリティ)術を応用した道路空間評価システムを用いて分析し,高齢運転者の安全に配慮した道路標識の設計基準の改善に関する提案を行うことを最終目的としているが,本年度は,ジャンクション分岐部における高齢運転者の走行実験を行い,その走行挙動の分析を以下のように行なった. 1.被験者の属性および人数:年齢60.80歳の日頃乗用車を運転している男性62人 2.実験方法と採取データ:心拍計とアイマークレコーダーを装着し,ドライビング・シミュレーター(VERS-III)上でジャンクション分岐部手前約2kmの地点から,7つの代替案の標識を設置した(代替案の順番は被験者ごとにランダムに出す)道路区間を走行させ,心拍数,注視点,速度,アクセル使用量,ブレーキ使用量,横方向走行位置,被験者のアンケートなどのデータを採取した. 3.データ解析:採取されたデータうち判読時間,判読距離,速度プロファイル,速度低下量,最低速度地点,誤進入率などのデータによって,各標識代替案の評価を行うとともに,既往研究の若年者のデータと比較して,高齢運転者のジャンクション分岐部での運転挙動の特色を把握した. 4.分析の結果:現在の分岐標識は高齢運転者には必ずしも適切で優しいものでなく,何らかの改善が必要であることが判明した. 5.来年度の予定:未分析の心拍数変動および注視点などの指標を分析して,高齢運転者の運転挙動を詳細に分析する予定である.さらに,インターチェンジ分流区間(本年度に道路モデル作成済み)において若年者及び高齢者の室内走行実験を行い,同様の分析を行う.
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