研究課題/領域番号 |
15360288
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久場 隆広 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60284527)
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研究分担者 |
楠田 哲也 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50037967)
大石 京子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20110835)
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キーワード | 脱窒 / 脱リン / 脱窒脱リン細菌 / 単離 / 下水高度処理 / 水質予測モデル / 酢酸資化性 / ASM |
研究概要 |
下水からの生物学的リン除去は、経験的に、嫌気-好気(A/O)過程により達成可能ではあるが、一方で、実際の処理場では、時としてその除去が不安定となるなど、経験的なプロセス管理だけでは不十分である。このような経験的なプロセス管理に頼らざるを得ない一つの理由はリン除去細菌の単離が未だになされていないためである。ここでは、良好なリン除去能を有する活性汚泥中での主流派の菌群である酢酸資化性リン除去純粋菌を対象とする。また、研究代表者はリン除去細菌の多くが脱窒能を有することを証明し、下水処理システム内でのこの脱窒脱リン細菌の集積により、より質の高い高度処理が達成可能であることを指摘し続けてきた。したがって、本研究では酢酸資化能を有する脱窒脱リン細菌の単離とその生化学的情報の下水高度処理システム最適運転管理への応用を試みることとした。 本年度、下記の3点についての研究を実施した。 (1)酢酸資化能を有する脱窒脱リン細菌の単離:スクリーニング装置を自作し、単離操作あるいは集積操作に用いた。装置内に集積された菌群を植種して平板寒天法により単離した。16S rDNAをシーケンスし、同定を行った結果、8種類の純菌が得られた。しかしながら、全ての純菌は、脱窒脱リン細菌が有すべき特性を定量的には示さなかった。 (2)ポピュレーションダイナミクス:FISH法により、嫌気-無酸素連続スクリーニング装置内には、嫌気-好気法においてしばしば観察されるRhodocyclus属が3割ほど存在することを明らかにした。一方、このように高度にRhodocyclus属が集積されているにもかかわらず、それを単離できないということは、平板寒天法ではコロニー化できないという結論に達した。したがって、新規の単離手法を確立したので、来年度、その手法を適用してRhodocyclus属の単離を試みる。 (3)水質予測モデルの構築・検証:IAWが提案しているASMでは不十分であるため、脱窒脱リンプロセスをモデル化して下水処理水質を予測するモデルを構築し、その有用性を明らかにした。
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