研究課題
研究代表者は、地震力による水平力を受ける鉄筋コンクリート造建物の十字型、ト字型、L字型を対象として、力学モデルに基づいて多軸複合応力下の柱梁接合部に関する統一的で首尾一貫したモデルを提案し、その信頼性を検証して合理的な柱梁接合部の設計法を提案しようしている。このモデルは、1)架構剛性、2)接合部への変形集中、3)接合部せん断強度、4)曲げ降伏後の強度低下、5)その他の望ましくない破壊モードを合理的に評価する手法であり、特に実験によりその信頼性を確認することがこの研究の目的である。平成16年度は、十字型部分架構5体とト字型部分架構1体を製作し、静的漸増振幅載荷による破壊実験を行った。試験体は、現行の日本建築学会の靭性保証型耐震設計指針を概ね満たすよう梁降伏型に設計された。接合部とそれに接続する部材の形状・配筋は共通であり、接続する部材に作用する応力条件が異なる場合と、接続する部材に作用する応力条件が同じだが、接合部に接続する部材の形状が異なる場合のそれぞれの比較を行った。例えば柱・梁に通し配筋を有し、かつ、内部柱梁接合部に相当する応力条件においては、梁曲げ降伏時の梁危険断面のモーメントは計算値を下回ったが、柱梁接合部に相当する応力条件においては、計算値を上回った。このような、梁の各種強度、剛性、接合部・梁・柱変位分布、内部主筋の応力分布、接合部の二次元的変位分布の詳細に測定結果は、すべて既に開発されたモデルによりあらかじめ想定されたものであることを確かめ、モデルの妥当性を総合的に確認した。なお、本実験の結果は、世界中の研究者が、独自に開発している既存のモデルの信頼性検証のためのブラインド解析用に提供するため、ウェブページを開設し国際的な情報発信を行った。さらに、このモデルのコンセプトを発展させ、柱梁接合部の変形を考慮し、部材端部に3自由度を有する骨組の弾塑性地震応答解析に適用できるモデルに拡張するため、コンクリート、鉄筋、および付着に関する非線形ばねから構成され、外部に対して4部材の軸力・せん断・.曲げモーメントに関する12自由度を持つマクロエレメントを提案した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
日本地震工学会大会、2004梗概集
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日本建築学会,構造工学論文集 Vol.51B(発表予定)
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