研究概要 |
性能規定型設計の時代に向けて、目的・趣旨に適う優れた建築構造物の創出を支援する新たな構造設計支援システム開発のための理論的基礎を構築することを目指し、本年度は下記の項目について研究を行った。 (1)設計探索アルゴリズムの開発:過去の類例などに準じて適当に部材断面が与えられた骨組構造物について,静的な設計用荷重が与えられたときに,厳密な許容限界値が与えられた条件(条件S)と,許容限界値は与えられてはいるが妥協可能な条件(条件C)の全てを満足するように,各部材の断面をどのように変更すればよいかを効率的に見出す新しい方法として「性能直接操作法」を提案した.この方法を確実かつ効率良く実行できるアルゴリズムを考案し、プログラムコード化した。次年度からは、解析プログラムと接続し、具体的な問題への試行的適用を開始する。 (2)設計感度計算法の効率化:剛性行列の中のゼロ要素を効率良く除去する高性能スカイライン法を適用し、任意形状・任意部材配置を持つ立体骨組の設計感度係数を効率的に短時間で計算できるプログラムを作成した。 (3)振れを伴う立体せん断型モデルの構築:立体多層骨組モデルに対し,その動的弾塑性挙動が良好に近似予測できる立体せん断型縮約モデルを設定する方法を考案した。次年度以降、偏心率の大きな骨組を対象として、等価性を定義するための適切な静的荷重分布を模索する方向で研究を進める予定である。 (4)受動型制振装置付き立体モデルの設計:粘弾性ダンパーや履歴ダンパー等の受動型制振装置を備えた立体せん断型モデルに対し,水平二方向成分を有する地震時弾塑性応答が指定範囲に収まるように構造物層剛性や受動型制振装置の配置・容量を効率的に見出す方法の理論的骨格を構築した.
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