研究課題/領域番号 |
15360300
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
崎野 健治 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (70037985)
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研究分担者 |
江崎 文也 九州共立大学, 工学部, 教授 (90127986)
日高 桃子 九州大学, 人間環境学研究院, 助手 (20346828)
河野 昭彦 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (60136520)
中原 浩之 鹿児島大学, 工学部, 助手 (60315398)
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キーワード | 転倒モーメント / 耐震壁 / 履歴型ダンパー / コンクリート充填鋼管柱 / 鋼管横補強柱 / 繋梁 / 有限要素法 / 塑性ヒンジ |
研究概要 |
本研究で行う履歴ダンパー内蔵型転倒降伏耐震壁に関する実験的研究の目的は、次の三つである。 1)各種転倒降伏耐震壁を提案し、提案した耐震壁が想定したとおりの降伏機構を形成することを検証する。 2)耐震壁に内蔵された繋梁が、履歴ダンパーとしての性能を有するかどうかを検証する。 3)12層プロトタイプ建物の静的及び動的挙動の解析に用いる解析プログラムの精度を検証する。 以上の目的のもとに、平成15年度には、純フレーム2体、耐震壁5体、合計7体の試験体を製作し、静的繰返し水平加力実験を行い、その履歴性状について検証した。また、試験体を出来るだけ忠実にモデル化した解析を行い、解析結果と実験結果を比較することにより、12層建物の解析に用いる解析プログラムの精度について検証した。 得られた結論を以下にまとめて示す。 1)耐震壁の変形性状は、設計時に想定したように、柱脚に形成される塑性ヒンジと繋梁の変形性状に支配され、エネルギー吸収能力の大きい安定した復元力特性を示した。ただし、鉛直ダンパーを用いた試験体については、鉛直ダンパーが比較的早期に破断したため、設計詳細を検討し直す必要がある。 2)繋梁は、小さな層間変形角での繰返し載荷時にエネルギーを吸収することから、履歴ダンパーとしての性能が期待できる。 3)節点挙動で見た場合、耐震壁はフレーム架構と同様な変形挙動を示しており、曲げ降伏する耐震壁特有の引張側柱の伸び現象を生じない。 4)繋梁の取替えが容易な試験体の構造詳細が、耐震性能の観点からは最も優れていると考えられる。 5)本研究で用いた加力方法は、実際の構造物中における場合よりも大きなせん断力を耐震壁に載荷することになる。したがって、本実験結果は壁板部分のせん断変形の影響を実際より大きく受けている。このことを考慮すると、鉛直ダンパーを内蔵した試験体を除き、実験を実施したいずれの形式の耐震壁試験体も優れた性状が期待できると思われる。 6)線材要素を用いた有限要素法による解析により、荷重-変形はもとより各部の変形性状も実験結果を比較的精度良く予測できることが明らかとなった。
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