研究概要 |
本年度は、(1)「起振実験及び地震観測のデータ解析」、(2)「3次元シミュレーション解析」、(3)「簡易モデルの構築」の3テーマを掲げたが、年度はじめより多くの中小地震の観測データが得られたため、観測データの解析およびその3次元シミュレーション解析に的を絞って研究することにした。得られた主要事項を下記に記す。 本研究者らは、10年ほど前より、本学船橋キャンパスで高密度の地震観測を実施しており、現在までに多くの観測データが得られている。平成17年7月23日に観測された、千葉県北西部を震央とする地震の同キャンパス内の地表面での最大加速度値は1m/s^2前後であり、観測開始以来最大のものであった。研究対象の2タイプの基礎ブロックモデル近傍地盤3測点での最大加速度値は0.90m/s^2,0.84m/s^2,1.20m/s^2である。従来型基礎(CF)および改良型基礎(IF)のスウェイ動の最大加速度は、X方向(2基礎の配置方向に直交)でそれぞれ、1.30m/s^2,0.89m/s^2、Y方向で(2基礎の配置方向)ではそれぞれ、0.98m/s^2,0.85m/s^2である。CFに対するIFのスウェイ動の応答加速度の低減率でみれば、X方向で33%、Y方向で13%となる。新潟県中越地震での低減率はそれぞれ14%、18%である。両基礎ブロック上面での上下動加速度記録から求めた擬似的なロッキング動成分では、その低減率は千葉県北西部を震央とする地震では52%,新潟県中越地震では49%となっており、提案した改良型基礎は特にロッキング動に対して振動低減効果が顕著であることが地震観測データおよびシミュレーション解析から検証された。なお、シミュレーション解析結果は観測データの周波数伝達関数の傾向を概ね模擬できているが、現状では必ずしも両者の対応性は良好とは言えない。現在、近傍構造物の影響度等を含めてその原因を検討中である。
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