局地気象の年間解析に基づく東北地方の都市温暖化とエネルギー消費の相互関連の分析

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15360306
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 持田 灯 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00183658)
• 研究分担者: 渡辺 浩文 東北工業大学, 工学部, 助教授 (60247236) ; 安田 延壽 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30004419) ; 吉野 博 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30092373)
• キーワード: ヒートアイランド / 海陸風 / 地域特性 / CFD解析 / 局地気象 / エネルギー消費

研究概要

風力発電サイト立地選定のための局所風況予測モデルで採用されている通年計算のためのシミュレーション・システムを参考に、仙台を中心とする500km圏、50km圏、5km圏の3段階Nesting手法に基づく都市気象の通年解析のためのシミュレーション・システムを開発した。
数値解析検証用データベースとして、渡辺が近年収集し、解析を加えてきたリモートセンシングデータおよび仙台市の小学校の百葉箱データ(温湿度データ)を整理し、これとともに拡張AMeDASデータ及び仙台市内の既往の観測データを整理することにより、典型的な夏日における仙台市内の風向、風速、気温の日変動について把握した。これらのデータから、東北地方⇒宮城県北部から福島県北部の太平洋沿岸⇒仙台市の各領域の気候の、3段階Nesting手法に基づく数値解析の予測精度の検証を行い、海水面温度、雲量、人工俳熱量等のパラメータの最適化を行った。また、渡辺が近年収集・整備している仙台中心部5km圏の建物用途、建築面積、階数のデータを拡充すると共に、現存の建物の断熱性能の資料を収集し、GIS(地理情報システム)上に気候数値解析のための入力データベースを構築した。
これらの成果を踏まえて、首都圏の大都市である「東京」、東北地方中核都市である「仙台」、人口5万人規模の地方小都市である「福島県原町市」を対象とした数値解析を行い、地域特性が都市気候形成メカニズムに与える影響について分析した。解析結果から、東京では地表面からの顕熱発生、人工排熱の寄与の程度が大きいこと、仙台では地表面からの顕熱発生が大きいが、同時に海風による気温低減効果も大きいこと、原町では海風の効果が非常に大きいことが分かった。以上のことから、各都市の地域特性によりヒートアイランド対策として用いるべき改善手法の優先順位が異なることが示された。

研究成果

• [文献書誌] Kiyoshi Sasaki, Akashi Mochida, Shuzo Murakami, Hiroshi Yoshino: "EVALUATION OF THE IMPACTS OF URBAN TREE PLANTING IN TOKYO BASED ON THERMAL METABOLISM MODEL"BOOK OF ABSTRACTS,5th International Conference on Urban Climate. 026-2 (2003)
• [文献書誌] Shuzo Murakami, Akashi Mochida: "CFD prediction of flow over complex terrain using a local area wind prediction model LAWEPS"Conference Preprints,11th International Conference on Wind Engineering. Volume2. 2821-2828 (2003)
• [文献書誌] 岩谷賢, 持田灯, 渡辺浩文, 吉野博他: "福島県原町市における夏季屋外温熱環境と住宅のエネルギー消費の実態調査(その1)(その2)"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). D-1. 645-648 (2003)
• [文献書誌] 原田雄介, 村上周三, 持田灯他: "ヒートアイランド緩和方策が夏季と冬季の首都圏の熱環境へ及ぼす影響の数値解析(その2)"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). D-1. 655-656 (2003)
• [文献書誌] 佐々木澄, 持田灯, 渡辺浩文, 吉野博他: "実測・数値解析に基づく仙台市の都市環境気候図作成(その1)〜(その9)"日本建築学会大会学術講演梗概集(東海). D-1. 661-678 (2003)
• [文献書誌] 吉田知弘, 持田灯, 吉野博他: "地域特性が都市気候形成に及ぼす影響に関するCFD解析"第17回数値流体力学シンポジウム講演要旨集. 178 (2003)