研究課題/領域番号 |
15360312
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
倉渕 隆 東京理科大学, 工学部, 教授 (70178094)
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研究分担者 |
長井 達夫 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (00316001)
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キーワード | 通風 / 風洞実験 / CFD / k-eモデル / 最小化問題 / システムシミュレーション / エンタルピ / 省エネルギー |
研究概要 |
本年度は、まず建物周辺が開けている場合・密集している場合の風洞実験を行い、熱システムシミュレーションを実行する際の詳細な境界条件を取得した。今後の検討を進める上でCFDによるケーススタディが必須であると考えられるため、上記結果を用いてCFDにおける各種乱流モデルのベンチマークを行った。結論として、Durbinリミタを組み込んだk-eモデルおよび繰り込み群理論を組み込んだk-eモデル(RNG)が実用的には最善であるとの判断に至った。 次に、Durbinモデルを用いて流出側における検討を実施した。流出側の気流特性については昨年度に充分な知見が得られており、本年度は流出側開口部を効果的に用いる方策について検討を行った。CFDおよび風洞実験の結果より屋根面を排気口として利用することによって、効果的な通風が得られると判断し、各種屋根形状による通風量の相違について検討を行った。その結果、屋根勾配20度程度までは充分な効果を得られることが判明した。また、換気塔や棟換気口を用いることによっても充分な効果が得られることがわかった。これらについては熱システムシミュレーションによる省エネルギー効果の算定も行った。 熱システムシミュレーションについては戸建住宅をモデルに、主として窓開閉ロジックの違いが冷房用エネルギーの削減に与える影響を検討した。まず共働き世帯を想定したところ、室内外温度差によって不在時・就寝時でも自動開閉できると仮定した場合に、夏期日中の室温上昇を抑え、あるいは夜間の低い外気温を利用することができ、顕熱負荷削減に大きく寄与した。しかしながら同時に潜熱負荷は大きく増大し、エンタルピ基準等で制御する必要のあることが分かった。次に専業主婦(夫)世帯における手動開閉を想定した検討の結果、人のいない部屋についても窓開けを行い、また冷房中であっても一定時間おきに冷房を停めて一旦窓を開けてみる、とった小まめな操作により、全熱負荷が10%弱削減されることが分かった。 上記CFDにより通風量効果の得られた屋根形状についての検討を行い、通風量はCFD同様に大きく増大するが冷房負荷の削減効果は通風量の増大ほどではないという結果になった。室内外エンタルピや内部発熱等との連関で通風の省エネルギー効果を評価すべきであることが分かった。
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