本研究の目的は、サポート産業の中核技術になり得る建物評価・情報開示技術と、インフィル産業の中核技術となり得る回収・再利用可能な家具的なインフィル実装・運用技術を確立し、適用可能な形で提案することにある。また、これら中核技術の検討では、生活者にとっての価値を高めることを最優先課題とし、新しいライフスタイルへの適応性を主たる評価軸としている。 研究の初年度である本年度は、主として以下の研究を実施した。 (1)サポート産業の中核技術に関して、既存建物の用途転換可能性に関する評価方法の開発を行なった。特に、空きオフィスビルを住宅に転用することを想定した場合の、既存建物の転用しやすさを評価する手法を開発した。 (2)サポート産業のz風格技術に関して、既存建物の経年劣化現象に関するデータを収集し、診断業務に役立つ形でのデータベースの雛型の開発を行った。具体的には、マンションの大規模改修時の診断資料を100件程度収集し、その内容を分類整理する形をとっている。 (3)インフィル産業の中核技術に関して、在宅介護が必要になった人の生活を支えるインフィルの計画案を多くの人に提示し、使用者の視点に立った評価を得た。これはモデルの実用化に向けた検討として位置づけられる。 (4)インフィル産業の中核技術に関して、新たに少子社会に対応すべく、子育てを支援するインフィルの必要性を確認し、そのあり方に関する検討を行なった。具体的には、次年度のインフィルの開発に向けて、子育て対応インフィルの基本構想を立案した。
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