環境デザインの初期段階において、様々な関係者の参画を可能にする統合型コラボレイティブデザインシステムに必要な機能を、「景観試設計」という新たな景観設計方法の観点から整理するとともに、プロトタイプシステムを構築した。「景観試設計」とは、スケッチレベルから3次元空間の中で検討し、仮の3Dモデルを作成して環境設計の基本方針を検討することによって、従来の景観設計で起こりがちであった三次元的に景観検討をした結果、基本計画を見直さなければならない問題点を解決できる設計方法である。「景観試設計」を実現するためにシステムに必要な機能として、(1)リアルタイム・シミュレーションによる可視化、(2)オーバーレイによる3次元可視化、(3)インタラクティブな操作による設計検討、(4)計画関連情報の同時閲覧、(5)扱いやすさ・可搬性、に整理した。システムの開発にあたっては、速い描画速度で汎用ブラウザを利用できるPlayerがあり、高度なプログラミング知識がなくても簡単に開発が可能なVirtual Realityオーサリングソフトウェアを採用した。システムには、高度や傾斜勾配など環境設計のための必要な地域分析情報の3次元可視化機能、スケッチや図面情報と3次元地形をオーバーレイすることによる3次元可視化機能、地形などの自然条件をわかりやすく確認するための例えば高さなどの強調表現機能、スケッチデータと3次元地形との自動オーバーレイ表示機能、リアルタイムシミュレーション・スケッチ・CADデータといった計画関連情報の同時開発機能等を実装した。
|