研究分担者 |
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50125580)
林 好一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20283632)
岸本 俊二 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (00195231)
西野 吉則 独立行政法人理化学研究所, 播磨研究所, 研究員 (40392063)
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研究概要 |
蛍光X線ホログラフィーは,蛍光X線を放出する原子周りを三次元的に再生させることができ,半導体などの不純物周辺の局所構造解析に応用が期待される手法である.我々は,新しい構造解析技術として,X線を照射した際に生じる可視又は紫外発光を用いた原子分解能ホログラフィーを考案した.X線励起発光は,材料中の特定のサイトの原子が発光する場合にはサイト選択的なホログラム測定の可能性や蛍光X線が大気中で検出しにくい軽元素を中心原子としたホログラム測定の可能性などが考えられる.本年度における研究では,X線励起発光ホログラフィーの実行可能性の評価を目的として以下の実験を行った. 膜厚520nmのZnOエピタキシャル薄膜(ZnO/MgO/Al_2O_3)を試料に用い,紫外及び可視発光検出によるホログラム測定を行った.同時に,蛍光X線ホログラム測定も行い,X線励起発光ホログラム測定との比較を行った.その結果,蛍光X線ホログラム測定ではZnO薄膜を,X線励起発光ホログラム測定ではサファイア基板に相当したホログラムが得られた.検出した紫外・可視発光は主にサファイア基板からによるものであり,本測定では,通常蛍光X線では検出の困難な軽元素A1を中心としたホログラム測定の可能性が示された.また,ZnO薄膜を100K程度に冷却すると,バンドギャップ間遷移に起因するZnOの紫外発光(373nm)の強度が増大する.そこで,試料を100Kに冷却し,分光器を用い373nmの波長の紫外線のみを選別し,X線励起発光ホログラム測定を行った.その結果,ZnO薄膜に由来するホログラムを観測することができた.
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