研究課題/領域番号 |
15360329
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松原 英一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (90173864)
|
研究分担者 |
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50125580)
林 好一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20283632)
岸本 俊二 大学共同利用機関法人, 高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所, 助教授 (00195231)
西野 吉則 独立行政法人, 理化学研究所・播磨研究所, 研究員 (40392063)
|
キーワード | 蛍光X線 / X線ルミネッセンス / X線ホログラフィー / X線回折 / シンチレーター / 酸化亜鉛 |
研究概要 |
蛍光X線をプローブに、3次元原子構造の可視化を行うイメージング技術であるX線ホログラフィー法に、XAFS測定法で既に利用されているX線ルミネッセンスを採用し、新たなX線ホログラフィー法技術開発の研究を行った。我々は、X線ルミネッセンス発光強度のX線入射角依存性に着目し、蛍光X線ホログラフィーと類似の原理に基づく、原子分解能ホログラム測定を検討した。平成16年度の実験において、サファイア基板上にZnOをエピタキシャル成長させた試料を用いて、X線ルミネッセンス強度の入射角依存性を測定した。本年度は、これらの測定データについて、まずX線ルミネッセンスのパターンはZnの蛍光X線ホログラムと本質的に異なることを明らかにした。さらに、これらのX線ルミネッセンスパターンに、一次元平均化処理を施し、X線定在波線を浮き立たせて、パターン発生の原因を究明した。その結果、X線ルミネッセンスの強度パターンは、基板であるサファイアからのホログラムと一致することが分かった。また、分光器によってX線ルミネッセンスのスペクトルを解析したところ、ZnO薄膜に比べサファイア基板からの発光が支配的であることも明らかにした。さらに、通常の蛍光X線測定では、大気による吸収によって不可能なA1などの軽元素の蛍光X線ホログラフィー測定も、X線ルミネッセンスをプローブに利用することによって大気中で簡便に測定できることを実証した。次に、クライオストリームを用いて、試料を冷却することによってZnOの紫外発光強度(373nm)が増加することに着目し、この波長の光のみを分光器で選択し、X線ルミネッセンスホログラフィーの実験を行い、ZnO薄膜に由来するホログラムのみを観測することに成功した。このようにして得られたX線ルミネッセンスを利用したX線ホログラフィーの解析では、X線ルミネッセンス強度シミュレーションプログラムを用いて、実測強度プロファイルを再現するような構造モデルを構築することにより定量的な構造解析を行うことが有効であることも明らかにした。
|