研究課題/領域番号 |
15360332
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木村 薫 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30169924)
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研究分担者 |
曽我 公平 東京理科大学, 基礎工学部, 講師 (50272399)
川口 建二 産業技術総合研究所, 界面ナノアーキテクトニクス研究センター, 主任研究員 (80344141)
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キーワード | 超伝導材料 / ボロン系半導体 / 正20面体クラスター / 高対称性 / ドーピング / 可変領域ホッピング伝導 / パウリ常磁性 / 複雑構造固体 |
研究概要 |
B_<12>正20面体クラスターを基本構造とするボロン正20面体クラスター固体(B-ICS)は、クラスターの高い正20面体対称性に起因する大きな状態密度、N(E)、をはじめ、フォノン振動数や電子-格子結合定数の上でも高温超伝導に有利な条件を兼ね備えている。また比較的多くの金属をドープできることから、金属ドープで電子を供与することにより伝導帯側のN(E)の高い状態にフェルミ準位、E_F、を操作できれば、金属転移や超伝導発現の可能性がある。本年度は、下記の成果を得た。 A)α菱面体晶ボロンへのMgドープの試みと超伝導転移の探索 B_<28>クラスターを含まず、B_<12>正20面体クラスターのみを構造単位とするα菱面体晶ボロンにMgをドープすることを試みた。αボロンには、β菱面体晶ボロンでドープに成功した蒸気拡散法では、試料の極一部にしかドープできないことが分かっていたので次の方法を採った。まず、βボロンと局所構造が似ていることが知られているアモルファス・ボロンに蒸気拡散法でMgドープを行う。その後、Mgドープされたアモルファス・ボロンを熱処理してαボロン化させて、Mgドープαボロンの作製を試みた。粉末X線回折では、ドープできた可能性が示されたが、金属転移も超伝導転移も観測されなかった。 B)α正方晶ボロン・ナノベルトへのドープの試み ボロン・ナノベルトの電気伝導率を測定する方法を確立し、Mgドープを試みた。バルクのβ菱面体晶ボロンへのドープの場合との比較し、フェルミ準位での状態密度は大きかったが、金属転移には至らなかった。ナノベルトのサイズ効果は観測されなかった。
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