研究課題
基盤研究(B)
電子を使った電子顕微鏡とは異なり、電子の反粒子である陽電子を用いた陽電子顕微鏡、特に、透過型陽電子顕微鏡の試作を行ってきた。透過型陽電子顕微鏡は研究代表者が誰よりも先、22年も前に提案したものである。陽電子は電子の反粒子であるので、ベータープラス崩壊をする22Naでも得られるが、強度が極端に小さい。われわれは中古の透過型陽電子顕微鏡JEM100SXをKEK(高エネルギー加速器研究機構)に運び込み、陽電子への改変を行ってきた。電子の線源部を陽電子ビーム用に変更し、また、陽電子と電子の線源を簡単に切り替え、試料の同じ場所を見られるよう改変して、陽電子ビームが供給されるのを待っていた。陽電子ビームが使用可能になるまで、陽電子画像の取得の方法を開発してきた。その方法として、イメジングプレートを我々は世界で初めて陽電子に応用することに成功し、陽電子ビームがわれわれの改変した透過型陽電子顕微鏡に引かれる機会をひたすら待った。陽電子顕微鏡用の新しい陽電子ビームを引く予算は当研究交付額の数十倍にも及ぶ額が必要である。この間に共同利用として開放された陽電子TOF(Time Of Flight)を用い、単色(決まったエネルギーの)陽電子を使って、種々の物質、物体の透過陽電子画像を得ることが出来た。また、密閉22Na線源を購入し、空気中でも物体の透過像を撮る方法を考案した。当時は100マイクロキューリー(現在は137μCi)なら、法律上は放射性同位元素として、アイソトープセンターのような特殊な隔離した場所でなくても取り扱うことが出来る。X線は高電圧や嵩張る装置が必要であるが、このような密閉陽電子線源はボタン状の1個で役に立つことがわかった。これを利用して、物体の透過画像を取ることが出来る。この研究成果を特許申請した。一方、平成17年度より平成20年まで、千葉大の藤浪助教授が代表となり、(堂山も分担開発者)科学技術振興機構より、「透過型陽電子顕微鏡」のプロジェクトが採択され、大きな研究費がついたので、当科研費は発展的にそのプロジェクトに引き継がれることになった。当科研費による研究成果が次のプロジェクトに多々生かされている。新陽電子顕微鏡は多年の経験、研究成果により、設計された。また、顕微鏡用陽電子ビームも平成19年度後半には支給される運びとなっている。
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Nuclear Inst. & Methods Section B, (Volume 255) (2007). (印刷中)
Nuclear Inst. & Methods Section B Volume 255(in Print)
Applied Surface Science 252 (2006) 3126-3131
ページ: 3126-3131
Applied Surface Science 252
Matertials Science Forum Vol. 441-446 (2004)pp471-473.
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Transaction of the Materials Research Society of Japan Vol. 29 (2004) 29-32.
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材料の科学と工学 平成15年10月 211-215
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材料の科学と工学 Zairyo Kagaku to Kougaku Oct.