研究課題/領域番号 |
15360344
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
逆井 基次 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (50124730)
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研究分担者 |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (20293756)
松田 厚範 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (70295723)
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キーワード | 金属酸化物厚膜・薄膜 / ゾル-ゲル / ナノレオロジー / 圧子力学 / 弾塑性 / 粘弾性 |
研究概要 |
コーティング膜のミクロ・ナノレオロジー計測、解析手法の確立を主目的とし、以下の研究を実施した: (1)ミクロ傾域計測装置の改良 ミクロ領域でのレオロジー関数計測を可能とするため、現有の微小材料試験機(電磁力式微小材料試験機マイクロサーボMMT-10NB-2)を荷重分解能10mN、圧子圧入変位分解能10nmの性能を有する高性能装置へと改良を行った。 (2)走査プローブ顕微鏡のレオロジー計測装置への改良 定量的なナノ領域での弾塑性・粘弾性解析を行うため汎用走査プローブ顕微鏡を設備備品費として購入するとともに、レオロジー計測を目的とするための装置改良を計画した。しかしながら、改良に伴う汎用装置固有の技術的な問題点が判明したため、方針を転換し、新規なナノレオロジー計測装置の試作を行った。試作装置性能概要:プローブの変位計測精度(分解能0.5nm)、荷重計測精度(10μN)。溶融石英標準試料による計測データ信頼性の精査を終了し、薄膜での予備試験を開始した。 (3)ミクロ・ナノ弾塑性・粘弾性解析のための圧子力学理論構築 ミクロ・ナノ領域に適用可能な圧子力学理論を薄膜、多層複合体に適用するための理論拡張、有限要素法数値解析を行った。 (4)ゾル-ゲル法を用いたモデル厚膜・薄膜調製条件の確立 出発原料にテトラエトキシシラン(Si(OEt)_4)とメチルトリエトキシシラン(MeSi(OEt)_3)を用いたSiO_2-MeSiO_<3/2>系無機-有機ハイブリッド厚膜の作製条件最適化を行った。得られたハイブリッド厚膜の力学物性をアクチュエータ駆動型の微小材料試験機にダイヤモンド製圧子を取り付けた独自装置を用いて圧子圧入試験により評価した。圧入深さを膜厚の約1/4以下にすることで、膜の真の硬度を求めることができた。ハイブリッドゲル膜は、熱処理時間が長くなるほど、またSiO_2成分が多くなるほど硬度とヤング率が増大することがわかった。これらの膜力学物性の変化は、膜中のSi-O-Si架橋構造の発達を反映していることを赤外吸収スペクトルの変化から明らかにした。また、メチル基の代わりにフェニル基を導入したハイブリッド厚膜の作製についてもナノレオロジー計測を開始した。
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