La_xSr_<1-x>CoO_<3-δ>について、絶対零度付近から高温までの定圧熱容量(C_p)測定を行い、酸素イオン空孔(V^¨_o)導入に伴う相転移点の変化を検討した。また、極低温のC_pの測定結果からデバイ温度(θ_D)を決定し、そのθ_Dに基づいてデバイ関数から定容熱容量(C_v)を求めた。なお、試料組成は原子の総数1モル、すなわち、La_<0.207>Co_<0.207>O_<0.586>、La_<0.177>Sr_<0.031>Co_<0.209>O_<0.583>およびLa_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>と表記した。 La_<0.207>Co_<0.207>O_<0.586>では、約600Kにおいて半導体から金属への相転移、また、約750Kにおいて磁気モーメントが増加する相転移が起こることが分かった。V^¨_oを導入したLa_<0.177>Sr_<0.031>Co_<0.209>O_<0.583>およびLa_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>では、これらの相転移点が低温側へ移行することが分かった。なお、La_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>では、約250Kにおいて、強磁性から常磁性への相転移も起こることも分かった。 La_<0.207>Co_<0.207>O_<0.586>、La_<0.177>Sr_<0.031>Co_<0.209>O_<0.583>および前年度検討のLa_<0.2>Fe_<0.2>O_<0.6>について、デバイ関数より基めたC_v、を比較した。V^¨_oの増加に伴い、C_vが増加することが分かった。これらのC_vを積分して定積状態での298Kにおける振動のエントロピーを計算し、V^¨_o濃度で差分することにより、V^¨_o生成の振動のエントロピーを見積もると、177.34J・K^<-1>・mol^<-1>となった。この大きなエントロピーがV^¨_oを生成させ、導電性を付与すると考えられる。なお、La_<0.109>Sr_<0.109>Co_<0.218>O_<0.564>では低温のC_pの温度依存性が複雑であるため、デバイ関数を求めることが困難であった。
|